Skretting Sustainability Report 2022

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良き市民

ロードマップ2025のこの柱は、主に多様性と包括性に焦点を当てています。当社は、養殖を通じて持続可能で健康的な生活を確実に提供できるように、ベストプラクティスとテクノロジーで地域社会を強化することによって、この問題に取り組みます。

さらに、社内で良き市民であるように取り組み、多様性と包括性を大事にする雇用主であり続けるようにします。私たちの会社は、人々が生活し働く多様性に富んだグローバルな社会を反映し、人々が望んでいる変化をもたらす存在となることを目指します。当社は、全員が最高の力を発揮できる文化、全員が評価、尊重されていると感じられる環境の中で、全員が成長することを望んでいます。

当社は、「Feeding the Future」を成功させるために、すべての人を大切な家族の一員として迎え入れ、最高のパフォーマンスを発揮するための機会を平等に提供します。当社は、人を尊重し、多様性を受け入れ、互いのユニークな視点に耳を傾け、そこから学びます。

目標に向けた進捗

2025年までにシニアリーダーシップに占める女性の割合を30%にする

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シニアリーダーシップに占める女性の割合は22%

「テイキング・ザ・ステージ」プログラムのを実施する

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2022年にニュートレコの200人以上の女性リーダーシップが「Taking the Stage」に参加

目標に向けた進捗

2022年は引き続き多様性と包括性に関わる以下の3つの分野に重点的に取り組みました。
  • 代表的立場にある人物のジェンダー間のバランスを取ること:2025年までに、指導的地位にある女性の割合を30%にすることが目標です。現時点では22%であり、この目標を達成するためには、この取り組みを加速させる必要があることを意味します。当社は、女性比率を向上させることを目的とした具体的な採用目標を掲げています。
  • より多くの国籍の人物が代表的立場にあるようにすること:この分野に関しては、引き続き好調に推移しています。2022年、スクレッティングの事業全体で代表的立場にある人物の国籍は73か国に増えました。
  • 包括性を推進する文化の醸成:2022年に当社が実施したパルスサーベイには多様性と包括性に関する質問が1つ含まれていましたが、インクルージョンインデックスに求められるすべての要素を満たすことはできませんでした。また、ニュートレコの戦略や親会社であるSHVのコアバリューとの整合性を高め、当社のパーパスである「Feeding the Future」に対応するために、新しい企業価値観を発表しました。「包括性」という新しい価値観は、包括的な行動や文化を促進するより強力な基盤となります。2022年に包括性を目に見える形で推進した一例として、当社のオペレーション部門の施設に女性用更衣室を設置したことが挙げられます。この小さな変化は、オペレーション部門でより多くの女性を雇用するための基礎となるものです。

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地域の取り組み

スクレッティング チリと Inspiring Girls Chile Organisationの連携関係パートナーシップ

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スクレッティング チリは、2年連続でInspiring Girlsと協力し、業界のリーダーである女性たちと、ロスラゴス地域にある複数の教育機関の10代の少女たちによるトークイベントを開催しました。

2022年には、スクレッティング チリの多くのお客様を代表して、水産養殖業界の女性リーダーたちが参加しました。リーダーたちは、チリ南部の教育機関の少女たちとの専門的な「スピードデート」セッションを行いました。これは、チリの首都以外でのInspiring Girls Chileの初のパートナーシップとなりました。

このプロジェクトは、当社が掲げる「良き市民」に沿ったもので、学生たちの仕事に対する意欲や自信を高めるとともに、さまざまな分野(今回はサーモン養殖業)のリーダーである女性たちとのつながりを育むことを目的としています。また、同組織は講演者に対して「インパクトを与えるコミュニケーション手法」のトレーニングを実施し、講演者が学生と効果的にコミュニケーションをとるためのソフトスキルの開発を支援しています。

海洋からプラスチックをなくすことを誓う取り組み

Cleanup.png毎年800万トンの廃棄プラスチックが海洋に流入していると推定されています。また、プラスチックによる海洋汚染が原因で、毎年最大で2.5兆ドルのコストが発生していると推定されています。プラスチックによる海洋汚染を減らすための行動を促進する目的で、また健全な海洋に向けたSeaBOSによる変革の取り組みの一環として、2022年にスクレッティングとニュートレコは再び海洋からプラスチックを取り除く海岸清掃活動に参加しました。海岸から廃棄物を取り除くだけでなく、この機会に廃棄プラスチックが海洋環境にもたらす課題を伝えるとともに、個人の行動が良い影響をもたらすことを示しました。

ノルウェーにあるスクレッティングのグローバルオフィスとローカルオフィスに加え、オーストラリア、カナダ、チリ、エクアドル、フランス、ベトナムの従業員がこの活動に参加しました。合計で260人以上がビーチや水路から約3,670キログラムの廃棄物を取り除くことに貢献しました。これは、2021年と比較してそれぞれ56%、465%増加したことになります。

ベトナムの清掃活動を動画でご覧ください

ルワンダの水産養殖の新時代

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ギシャンダ養殖場は、ルワンダ東部のアカゲラ国立公園地域で、持続可能な食糧生産を加速させるイノベーションとスキルを導入する、新しい社会経済的水産養殖開発イニシアチブです。周辺地域の雇用機会を創出するとともに、地元産のタンパク質を入手しやすくすることを目的として、2022年10月に開設されました。

オランダ企業庁(RVO)とスクレッティング、ニュートレコの親会社であるSHVが支援・共同出資するこの触媒的パートナーシッププロジェクトは、自然保護団体アカゲラ国立公園と官民イニシアチブFoodTechAfrica(フードテックアフリカ)が発案したものです。

「自然保護団体が養魚場を建設・運営するのは異例と言えるかもしれません。しかし、私たちAfrican Parks(アフリカンパークス)の目標は、コミュニティと保護地域の双方に持続可能な財産を残すことです。このプロジェクトは、持続可能な土地利用、生物多様性の保全、コミュニティの生活向上に取り組んでいます」とアカゲラ国立公園パークマネージャーLadis Ndahiriwe氏は述べています。

アカゲラ国立公園のメインゲートから6マイルの場所に位置するギシャンダは、最新の閉鎖循環式養殖システム(RAS)とソーラー技術を活用し、持続可能な方法で魚を養殖して出荷します。

この施設は、ナマズ生産が地域にとって身近なタンパク質の選択肢であり、必要な栄養価の高い食糧を生産するだけでなく、ティラピアの養殖から出る排水が敷地内の有機野菜畑を肥やす、循環型農業のモデルとして機能することを実証します。

ルワンダの養殖セクターを強化するために、年間100万匹のティラピア幼魚を商業販売し、さらに30万~40万匹を地域の湖に放流することで、地元に根付いたタンパク源と国家規模の経済成長を生み出すと見込んでいます。

長期的には、高品質のティラピア幼魚の生産と並行して、ギシャンダは年間30トンもの350~500グラムの市場向けティラピアを生産する予定です。そのうちの10%以上は、地元の栄養不足を解消するために、手頃な価格で地元に供給される予定です。

このプロジェクトの中核を成すのはトレーニングとスキルアップであり、ギシャンダが養殖セクターの全国的な学習拠点となることを目指しています

このために教育機関、政府機関、民間企業と提携し、国内の養殖産業の成長に伴う技術のギャップに対処していきます。

地域住民に家庭レベルでのナマズ養殖を指導するために、ナマズ養殖用の実証養殖池を3つ建設しました。さらに、栄養補給と事業目的でのナマズ養殖を発展させるために、養殖池で使用する用具(ライニング)とサポートを地域住民に提供する予定です。

また、ルワンダの有機養殖の専門家と提携し、持続可能な養殖の方法を地元の生産者に教えるための実証養殖場を開発する予定です。

同養殖場は、実行可能で持続可能な事業の開発のために、技術面、販売面、財務面から実践的なトレーニングの恩恵を受けられるよう、選ばれたコミュニティの共同事業に対して事業用としても提供されます。

ニュートレコ中東およびアフリカは、ギシャンダのすべての養殖活動において、主要なスポンサーおよび飼料パートナーとしての役割を果たしています。ギシャンダはルワンダで2番目の養魚場です。2019年に開催されたFoodTechAfricaを通じてビュジュスラに「レイクサイド養魚場」が開発・開設されました。

マダイのASC認証取得に向けた協働

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近年、水産物の持続可能性や養殖が環境に与える影響について関心が高まっています。この問題に対処する一つの方法として、持続可能な水産物に対する認証の取得があります。当社のお客様は、世界で初めて鯛のASC(Aquaculture Stewardship Council: 水産養殖管理協議会)認証の取得に成功しました。スクレッティング ジャパンは、このプロセスにおいて、お客様を後押しし、サポートする重要な役割を果たしました。

私たちは、持続可能性への取り組みの一環として、持続可能な水産物に対するエコ認証を提唱してきました。これは、海洋生態系を保全し、水産業の長期的な存続を確保するために不可欠なものだと考えています。

具体的には、エコ認証取得に興味を持たれているお客様に必要な指導とサポートを行います。必要な書類を作成するのを手伝い、審査中も同席してサポートを提供し、あらゆる質問に答えます。

日々の積み重ねが実り、お客様は鯛のエコラベル認証を取得することに成功しました。これは、水産業界全体にとっても大きな成果となりました。持続可能な養殖が可能であり、かつ収益性もあることが証明されたのです。この経験をもとに、他のお客様にもエコラベル取得のためのソリューションを提供し、現在では2番目の鯛の養殖業者がASC認証を取得しています。

認証取得後は、全国のスーパーマーケットやレストランで販売され、好評を得ています。このことは、持続可能な水産物の需要が高まっており、エコ認証がその需要に応える有効な手段であることを示しています。

全体として、今回のエコラベル認証の成功は、スクレッティング ジャパンとお客様との共同作業によるものでした。当社は、お客様のエコ認証取得への取り組みをサポートすることに取り組み、この画期的な成果の一端を担えたことを誇りに思います。

今後も、持続可能な水産物の環境認証取得を推進し、お客様の環境認証取得をサポートしていきます。

「これは始まりに過ぎません。これからも社会と養殖業の発展に貢献し、養殖業をより持続可能にすることを目指します」と浦田水産社長の浦田昌輝氏は言っています。

現地のNGOと協力し、食料食糧を必要としている人たちに提供する

NGO collab.png誰もが食糧を手に入れられるわけではない世界では、経済的に困難に直面している人々を支援する取り組みが欠かせません。そのような取り組みのひとつが、食糧や生活必需品を必要とする人に提供する「フードバンク」です。2022年、スクレッティング ジャパンは現地のNGOと協力し、必要としている人たちに食糧を提供しました。

私たちは、フードバンクに貢献するためにさまざまな食品を持ち寄りました。缶詰、包装食品、自分で育てた野菜、ベビーフードなど、多種多様です。当社は、生活費に困っている多くの人々に食糧を配ることで、飢餓に対処するだけでなく、経済的に困難に直面している家族に必要な救済を提供することができました。

また、お客様に魚の寄付をお願いし、その魚でお弁当を作り、経済的に困難な状況にある方々に配布しました。魚を寄付することで、お客様が地域社会に貢献することができ、関係者の一体感や目的意識を高めることができました。

フードバンクの取り組みには、他にも利点があります。これまで捨てられていた未使用の食品を寄付してもらうことで、食品廃棄物を減らすことにもつながりました。

この活動を通じて、小さな取り組みが人々の生活に大きな影響を与えること、そしてそのような取り組みを成功させるためには、コミュニティの参加が不可欠であることがわかりました。今後も、地域のNGOやお客様と協力し、地域の貧困や飢餓に関する問題に取り組んでいきたいと考えています。

スタバンガ―大学との提携

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2022年、スクレッティングはスタバンガー大学のInGenious(インジーニアス)プログラムと提携しました。InGeniousはチャレンジベースのプログラムで、学生は産業セクターや公的機関から提供される国連の持続可能な開発目標に関連するさまざまな案件に取り組む必要があります。

2022年、「Green Transition – IND 570(グリーントランジション- IND 570)」のコースを受講する修士課程の学生たちは、スクレッティングから提示された案件に取り組みました。その課題は、ノルウェーの3つの工場で、生産量と収益性を維持しながら、いかにしてCO2排出量を30%削減するかというものでした。

学生たちは、Ruth Beatriz Pincinato教授とスクレッティングのグローバルオペレーション担当エンジニアNevena Mišljenovicに指導を受けました。

Beatriz教授はこう述べています。「学生にとって、現実の課題に対処し、環境、経済、技術、倫理の基準を同時に満たす必要がある案件に取り組むことができたのは貴重な機会でした」また、スタバンガーにあるスクレッティングの工場を訪問し、飼料の製造工程、主な排出源、水産養殖の課題全般について理解を深めることができました。」と述べています。

スタバンガー大学は、優れた教育を提供し、画期的な研究を行い、イノベーションを促進することに取り組む、オープンで包括的な大学であることを目標としています。同大学が共有するビジョンは、持続可能な移行を促進するという責任感の下で推進されています。InGeniousプログラムは、同大学の学習プログラムに産業セクターを巻き込み、学術界と企業の架け橋として機能し、同大学の戦略と使命を補完するものです。

「スクレッティングとの提携の機会を得たことは、学生にとって貴重な学習体験となり、非常にありがたかったです」と、スタンバンガー大学のプログラムリーダーNelly Narges Karimi氏は述べています。GHG排出量の問題を評価するための新鮮なアイデアや新しい手法に触れる機会を得たことは、スクレッティングにとって有益でした。「まだ小規模であったり、開発中であったりするものの、非常に有望な新技術を知ることができたのは素晴らしいことでした。」

Next:原料の探求

飼料に使用する原料は、当社のサステナビリティ目標の基本要素であり、当社の総排出量の96%がスコープ3の原料によるものです。この章では、大豆と海洋に焦点を当て、当社の原料について深く掘り下げます。また、影響を最小限に抑えるための対策や協力体制について説明します。

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