スコープ1 & 2 - 自社の取り組みの改善

この1年間は数々のハードルがありましたが、スクレッティングはエネルギー効率化活動やCO2排出量削減に重点的に取り組むことが出来ました。2018年以降、BUサーモン(オーストラリア、カナダ、チリ、ノルウェー)やBU南ヨーロッパ(フランス、イタリア、スペイン、トルコ)といった成熟した事業会社は、CO2排出量とエネルギーを(具体的な条件下と絶対的な条件下の両方で)大幅に削減しています。これらの事業会社には、統合された市場で事業を展開し、効率に重点を置いて継続的に改善してきた歴史があります。彼らがたどってきた道は、当社の他の事業会社が従うべき道を示しているのです。      

 右図に示すように、2021年と比較すると、2022年はスコープ1および2の排出量が増加し、スコープ1の増加は、エビ用飼料の生産量の増加と直接的な相関関係があります。エビ用飼料の製造はその仕様上、魚用の飼料製造工程よりもエネルギー要求が高くなっています。一方、スコープ2の排出量は、エクアドルの工場で再生可能な資源からの電力を使用しているため、大きな影響を受けていません。

スコープ2排出量の増加は、スクレッティング ノルウェーの電力排出係数をロケーションベースからマーケットベース(0.016 kg CO2e/kWh から 0.402 kg CO2e/kWh)に変更したことによるものです。スクレッティング ノルウェーは、スクレッティングの総電力量の20%を消費しています。そのため、変換係数変更の影響はスクレッティング全体のスコープ2の結果に大きな影響を及ぼしました。ノルウェーの工場はスクレッティングのエネルギー効率化をリードしており、現地のチームはすでにノルウェーの工場で利用される電力を脱炭素化するためのオプションの検討を開始しています。現在、ストクマークネスの工場は、スクレッティングで最もエネルギー効率の高い魚の飼料工場です。詳しくは、ニュートレコのサステナビリティリポートをご覧ください

スクレッティングは今後も成長を続けていきます。同時に、科学に基づく目標イニシアティブに沿った排出量の削減に取り組んでいます。この問題には単純で単一の解決策がないことを認識しているため、スコープ1および2の排出に対処するために、全社的にいくつかの取り組みを開始しました。

スコープ1削減のためのアプローチには、汚染の少ない燃料源で資源を使用して運転するためのボイラーの改良、乾燥機ドライヤーの最適化、蒸気使用量の削減などがあり挙げられます。スコープ2の削減については、他の代替案が実行不可能な場面で、オンサイトPPA電力購入契約(電力購入契約PPA)、オフサイトPPAs、エネルギー属性証明書(EAC)の購入などの、他の代替案が実行不可能な場合、さまざまな選択肢を考慮して、電力の脱炭化水素のためのコスト効率のよい計画を立てています。

私たち当社にとって最も重要なことは、すべての工場がエネルギー目標を持ち掲げ、主な使用者のエネルギー消費量を測定し、データを使ってエネルギーの流れをよりよく理解しについて理解を深め、エネルギー使用に関する意思決定を行うことです。以前、当社私たちはいくつかの工場でエネルギー監視システムにおけるギャップがあることを確認しました。2022年は、これらのギャップを埋める年でした。 エネルギー監視を改善し、全工場の エネルギー報告頻度を増加させま増やしました。 エネルギー管理システムの改善と データの質の向上は、今後の エネルギー効率向上の基礎となります

Emissions key.png* BU Africa missing due to reporting errors

BU carbon footprint piechart

グローバル及びおよび地域レベルのスコープ3排出量

2022年の当社のスコープ3のカーボンフットプリントは約4,810,000トンです。これは、アムステルダムのような都市の温室効果ガス排出量の約1.3倍に相当します。

地域とビジネスユニット別に見ると、スコープ3の排出量が最も多いのはサーモン事業(約44%)とラテンアメリカの事業(約35%)であることがわかります。これは、これらの地域や事業分野で生産される飼料の量と相関していますが、飼料や原料調達の変化の影響も受けています。

2018年のベースラインと比較して、当社のスコープ3排出量は約16%増加しました。これはラテンアメリカにおける当社の大幅な成長によるもので、BUサーモンでは同期間にスコープ3排出量を約9%削減していますが、これが相殺されているような状況です。

これは、事業の成長によってスコープ3の排出量が増加することがほとんどであるため、企業レベルで絶対的な削減を実現するには、削減努力をさらに強化する必要があるというジレンマに直面しているのです。

スコープ3の排出量を原料の観点から見ると、そのほとんど(約4分の3)が植物原料に関連していることがわかります。

これは主に、畑で作物を育てるための土地管理方法によるものですが、20年前までに起こった土地利用の変化にも起因しています。

しかし、作物を飼料原料に加工する(大豆を大豆粕と油に加工するなど)ためのエネルギー使用など、その他の要素も重要です。原料にはそれぞれ個性があり、どの原料を使うかによって、その背景にあるカーボンフットプリントは全く異なるものになる可能性があります。

陸上動物性タンパク質(動物性畜産ミールなど)と水産原料(魚粉や魚油など)は、それぞれ約9%のスコープ3排出量につながっています。微量原料は、主に飼料に使用される量が少ないことから、それほど大きな影響を及ぼしません。

原料の排出量を詳しく見てみると、大豆由来の原料の排出量が最も高く、次いで菜種油、小麦由来の原料となっています。上位10種類の原料が、スクレッティングのスコープ3排出量のほぼ3分の2を占めています。スコープ3の削減を進めるためには、ここに重点的に取り組むことになります。

サプライチェーンへの取り組みに注力

2021年、ニュートレコは社内のカーボンフットプリントデータベースを定義し、主要なライフサイクルアセスメント(LCA)規格に沿って品質が保証されたLCA指標ですべての購入原料をマッピングしました。このデータベースは、カーボンフットプリントだけでなく、ウォーターフットプリントや土地利用指標のような他の指標も含め、飼料製品に最も関連性の高い7種類の環境影響カテゴリーをカバーしています。

2022年には、このデータベースを社内のさまざまなデータシステムとつなぐことに重点的に取り組みました。統合することで計算を自動化し、製品や会社のフットプリントを報告できるようになるからです。さらに、この情報は最終的に削減に取り組む必要のある部門間や事業会社間で共有できます。

2022年に達成した重要な1つ目の出来事は、スコープ3カーボンフットプリントダッシュボードを完成させたことです。これにより、当社のフットプリントの計算と追跡が可能になると同時に、当社が事業を展開している地域や、当社のカーボンフットプリントに最も大きな影響を及ぼしている現地事業、原料、サプライヤーはどれであるかについての貴重な分析情報が得られます。

 2つ目の出来事は、これらのフットプリント測定基準を当社の飼料配合ソフトウェアにうまく統合することでした。当社は2022年にこれを完了し、製品の配合に関して価格や栄養品質に次いでフットプリントの指標を考慮することで、将来的に製品を環境保全と経済性に配慮して設計するための強力なツールとなりました。

この統合ソリューションは、より自動化された方法で製品のフットプリントを計算し、異なる配合の選択が製品レベルでのフットプリントにどのような影響を与えるかを理解するのにも役立ちます。この統合ソリューションは現在、当社のすべての事業会社で利用可能で、すでにヨーロッパ、北米、南米、オーストラリアの主要市場で積極的に利用されています。

また、製品のパッケージ、工場の所在地、輸送情報を選択し、特定の配合の原料フットプリントに追加するだけで、製品の原料入手から出荷までのフットプリントを計算できる社内ツールを開発しました。

 

2022年には、専門のLCAデータ収集および/品質評価テンプレートを通じて、32のグローバルサプライヤー32社にLCAデータを要請要求しました。

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飼料のカーボンフットプリントは、生物種だけでなく、飼料が生産・販売される地域や市場によっても大きく異なることがあります。

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