アクアビジョン: 一致団結して、水産養殖の最大課題を克服
2022年、ノルウェーのスタバンガ―でアクアビジョンが開催されました。アクアビジョンは、スクレッティングとニュートレコが隔年で開催する世界的な水産養殖ビジネスシンポジウムです。世界各国から業界のリーダーや変革者が集まるこのシンポジウムは、第1回開催から26年を経て、14回目の開催となりました。
継続的な改善とサステナブルフードの未来が直面する複雑な問題への対応に正しく焦点を合わせ、労力を投資するための鍵となるのは、社内外のステークホルダーとの関わりです。
このリポートで、お客様やその他のステークホルダーの方々に、サステナビリティに向けた取り組みを共有していただくようお願いしました。共有いただいた知識と経験を参考に、当社のサステナビリティに向けた取り組みが、当社が事業を展開する地域で影響力を最大限発揮できるよう努めます。
2022年、ノルウェーのスタバンガ―でアクアビジョンが開催されました。アクアビジョンは、スクレッティングとニュートレコが隔年で開催する世界的な水産養殖ビジネスシンポジウムです。世界各国から業界のリーダーや変革者が集まるこのシンポジウムは、第1回開催から26年を経て、14回目の開催となりました。
以下では、ステークホルダーからの洞察をご紹介します。以下はそのプレビューです。
Wolfgang Harten, General Manager, Grupo Almar
Eduardo Soler, Licenses and Sustainability, AVRAMAR
Tore Eliassen, Head of Sustainable Development, Cermaq Group
Egil Magne, CEO, Pelagia
Árni M. Mathiesen, Independent Chair, Global Roundtable on Marine Ingredients
Martin Exel, Managing Director, SeaBOS
Sophie Ryan, CEO, GSI
Libby Woodhatch, Executive Chair, MarinTrust Governing Body Committee
Dan Lee, Standards Coordinator, Global Seafood Alliance
Carlos Montero Castaño, Senior Fisheries Program Manager, Pathways & Small Pelagics Program Development Team, Marine Stewardship Council
Emese van Maanen, Managing Director, ProTerra Foundation
Alexandra Warrington, Senior Coordinator Feed Standard, Aquaculture Stewardship Council
エクアドルのエビ養殖産業は規模が大きく、急成長を遂げており、戦略的に重要な立地にあるため、世界のタンパク質需要の増加に対応する上で重要な役割を担っています。GrupoAlmarは、エクアドル最大の生産業者の一社として、その責任の一端を担いたいと考えています。その責任とは、当社が「目的を持った水産養殖」と呼んでいるものへのコミットメントを通じて応えようとすることです。これは、将来の世代にプラスの効果をもたらすことができるように、当社の業務全般にわたって広範囲に及ぶ前向きなアクションを実施することに関わっています。
この点において、当社がお手本を示してきた分野のひとつが、Almarで働く人たちの労働条件を整えることです。残念なことに、この地域ではまだ当たり前のことではありませんが、当社にとっては必須です。当社が提供する宿泊施設や設備は、非常に高い水準にあります。その結果、より献身的な従業員が生まれます。従業員は当社にとってなくてはならないものであると考えています。
当社のアプローチのもう一つの側面は、当社が運営する地域社会と密接に連携することです。当社は、地元のステークホルダーがさまざまなプログラムに参加することが、長期的な成功に不可欠であることを認識しています。
スクレッティング エクアドルを含む業界の他のステークホルダーとの共同イニシアチブを通じて、2023年以降にこれらの持続可能な取り組みを加速させる道筋を模索しているところです
水産養殖は、国連の持続可能な開発目標や欧州グリーンディールに沿って、また欧州のブルーエコノミーに欠かせない存在として、ブルートランスフォーメーションを推進する必要があります。
この課題を認識していることから、AVRAMARにとってサステナビリティが優先事項となっており、AVRAMARのすべての部門とバリューチェーン全体にそれが反映されています。
優先事項となったのは、以下のような社会的な意識の高まりが反映された結果です。
• お客様からの要求の高まり
• 金融業務のリスク評価へのサステナビリティ基準の導入
• ますます厳しくなる欧州の規制の枠組み
このような状況の中、当社は養殖分野全体に及ぶ以下の5つの課題に直面しています。
• 飼料にサステナブルな原料を確実に使用し、抽出物由来のタンパク質への依存度を減らす
• 動物福祉、特に出荷時の福祉を向上させる
• 抗生物質の使用を減らすために、予防措置を講じ、予防接種を行う
• プラスチックの使用を減らす
• 化石燃料を代替燃料に置き換える
これらすべての要因を考慮すると、当社のサステナビリティに向けたコミットメントの主な要素となるのは飼料です。そのため、当社はサプライヤーに対して、原産地証明付きの原料を調達することや、新規原料が含まれる配合の開発など、厳しい要件を課しています。スクレッティングとの緊密な連携を重視しているのはそのためです。飼料を当社のサステナビリティのニーズに適合させることができるのは、スクレッティングの研究開発に関する強力な専門知識があるからです。
Cermaq Group ASは、世界有数の鮭鱒類養殖業者です。ノルウェーのオスロに本社を置くCermaqは、チリ、カナダ、ノルウェーに事業所を持ち、世界中に販売しています。
当社は、低カーボンフットプリントのタンパク質へのニーズに応えるために養殖業を発展させる中で、事業を行う地域のステークホルダーと一緒に成長することに重点を置いています。当社の飼料パートナーは、サーモン養殖の前向きな発展に欠かせない存在であり、バリューチェーン全体にわたって強力なソリューションを生み出すために、パートナーと協力していきます。
飼料の原料や生産に伴う排出は、当社のバリューチェーンの中で最も高い温室効果ガス(GHG)排出源となっています。したがって、当社が使用する飼料からの排出量を理解することは、気候変動排出量の目標を設定する上でも、その目標を達成する上でも極めて重要です。
特に、飼料からの排出量を毎年追跡・報告することは、排出量を削減する方法を理解する上で重要です。飼料サプライヤーと緊密なパートナーシップを築き、志を共有することで、バリューチェーンにおける重要な部分に確実に取り組むことができるのです。
循環型の考え方は重要であり、これをサポートする規制やビジネスモデルを当社は心から支持します
2022年にPelagiaが加工した魚は130万トンにのぼります。当社の目標は、魚全体から価値を生み出すことです。Food(食品)、Feed(飼料)、Hordafor(貨物)、Health(健康)の4部門に分かれており、2022年にはグループ全体で112億ノルウェークローネの収益を上げました。世界有数の魚の生産者として、Pelagiaは人的資源と環境の両方に影響を与える可能性があります。当社は、この立場を最もサステナブルな方法で管理するために、責任を果たします。
Pelagiaの原料は、世界で最もサステナブルな海産由来タンパク質源と油脂源です。これらの原料を水揚げして加工し、お客様に生産物をお渡しするまでの間、魚全体をできるだけ小さなフットプリントで活用する必要があります。
共に価値を創造する方法は、当社の行動によって決まります。Pelagiaは、パートナー企業の従業員に対する行動を体系的に強調することで、インパクトを与えています。
Pelagiaの生産工程はエネルギーを大量に消費します。また、大量流通に必要な陸上および海上ロジスティクス業務も同様です。現在、Pelagiaは化石燃料と再生可能エネルギーを併用しており、エネルギー源を化石燃料から再生可能エネルギーに切り替えている最中です。特に海上での化石燃料の代替エネルギーのいくつかはまだ成熟していませんが、大きなビジネスチャンスも見られます。自家製バイオオイルの燃焼、電気ボイラー、高温ヒートポンプ技術、ゼロエミッションなどの新しいエネルギー源は、Pelagiaが現在導入している施策の一例です。
国内での加工を増やすためには、民間企業と公的機関の連携が重要です
スクレッティングとニュートレコは国連グローバル・コンパクトプログラムのメンバーです。同プログラムは、人権、労働、環境、腐敗防止に関する「10原則」に基づいて、戦略や事業運営を調整し、責任ある事業活動を目指す企業を支援しています。また、国連グローバル・コンパクトは、国連持続可能な開発目標などの幅広い社会的目標に向けて前進するために戦略的に行動するよう、企業に働きかけています。
Global Roundtable on marine ingredientsは、持続可能な漁業パートナーシップ(SFP)とIFFO(The Marine Ingredients Organization)が2021年に立ち上げたものです。現在、13のバリューチェーンの代表者が集まり、責任を持って調達された海産原料の利用可能性を高め、漁業の環境および社会的改善を推進することを目的としています。
競争前段階で変革を推進する強力な手段としてコラボレーションを受け入れた組織が強力に連携することで、この円卓会議では、まず次の3地域で具体的なプロジェクトに取り組みます。西アフリカ、南アジア、東南アジアのライフサイクルアセスメントを利用した海産原料産業の環境負荷の分析に焦点を当てたグローバルプロジェクトに合意しました。
地域の課題に取り組むことは長期的な目標であり、それは国際的なガイドラインに照らし合わせて評価された地域の慣行にベンチマークを設定する業界の意欲だけでなく、地域の規制や共有魚種資源に関する地域の協力に依存します。地域や地元の市場原理をよりよく理解することが、これらのプロジェクトの中核をなします。これにより、地域の食糧の安全性を確保するためにどのようなインフラを整備することができるかが決まるためです。成功の鍵となるもう1つの要素は、地域のステークホルダーとの対話です。この点で、本グローバル円卓会議メンバーは、マルチステークホルダーアプローチを何よりも優先し、説明責任を求める漁業改善プロジェクトモデルに信頼を置いています。
海洋管理のための水産事業(SeaBOS)は、2016年に設立された科学産業イニシアチブです。世界最大の水産企業10社が科学的アプローチに基づいて、よりサステナブルな水産物生産と海洋の健康状態の改善を支援するための共通のビジョンを掲げています。この取り組みにより、アジア、ヨーロッパ、北米の飼料生産者と養殖業者を、漁獲漁業と繋いでいます。
SeaBOSの中核をなすのは、競争前段階のコラボレーションです。文化的、地理的な境界を越えて、SeaBOSの目的は、重要な課題に対処するための科学に基づくソリューションを開発し、誰でも利用できるようにリーダーシップ、ガイダンス、スチュワードシップ、ベストプラクティスを提供することです。
ニュートレコとスクレッティング、他メンバーと共に水産分野のグローバルな変革をリードしていくことは、野心的な仕事です。だからこそ、自らの事業やバリューチェーンで行動を起こし、学んだことを共有することを恐れない、献身的で熱心なメンバーがいることが非常に重要なのです。
SeaBOSの創設メンバーであるニュートレコは、当初から違法・無報告・無規制(IUU)漁業と現代奴隷の対応にあたるタスクフォースを主導してきました。過去5年間、SeaBOSは「Global Dialogue on Seafood Traceability(水産物トレーサビリティ世界標準)」と共に水産物バリューチェーンのトレーサビリティを推進することから、ニュートレコが主導する漁船の電子モニタリングプロジェクトの試験運用まで、多くの活動に貢献してきました。
SeaBOSは今後も、パートナーとの協働により、変革の実現に向けた取り組みを続けていきます。飼料産業と水産物のバリューチェーンをよりサステナブルなものにするために協力することの重要性と価値は、いくら強調してもしすぎることはありません。これまでも長い道のりを歩んできましたが、まだやるべき重要な仕事があります。ニュートレコが
この取り組みに熱意をもって積極的に参加してくれることがこの協力関係の強みであり、海洋スチュワードシップのミッションを前進させるのに役立ちます。
IUU漁業と現代奴隷のリスクに具体的に対処するために、SeaBOSは以下のものを作成しました。
• 企業が自社のニーズに合わせてカスタマイズできるツールキット。問題に対処するための枠組みを確立するための方針と指導手順を概説しています。
• 自主的な調達活動。責任ある原料調達や強制労働・奴隷労働・児童労働の撲滅を支援する仕組みから、監査やコンプライアンスのためのプロトコル、トレーサビリティの向上まで、さまざまな課題に対応します。
• SeaBOSの科学者が作成したリスク分析。港湾、海上、積み替えに伴う労働虐待とIUU漁業の主なリスクと、特定された主なリスク要因をマッピングしています。
この取り組みの目的は、リスクの特定と軽減を支援し、水産物事業の全体的なサステナビリティと労働パフォーマンスを強化することです。
水産養殖は世界で最も急速に成長している食糧システムですが、これには理由があります。水産物の摂取には健康上多くの利点があること、環境フットプリントが小さいこと、ブルーフードである天然魚と養殖魚は両方とも陸上動物と比較して温室効果ガス排出量が少ないことから、世界の食糧システム全体でサステナビリティ、健康、開発の課題に取り組む上で重要な要素となり得ます。
しかも、その需要は今後も増え続ける可能性が高まっています。「High Level Panel for a Sustainable Ocean Economy(持続可能な海洋経済の構築に向けたハイレベル・パネル)」によると、責任を持って管理すれば、2050年までに6倍栄養価の高い信頼できる食糧を供給できる可能性を海洋が持っていることが明らかになりました。