海産洋由来原料調達の目標達成に向けた取り組み
サステナビリティリポートに明記されている進捗に加え、より透明性を高めるという当社のコミットメントを支持し、当社のグローバル事業で調達した天然および養殖水産物の産地と環境のサステナビリティを、Ocean Disclosure Project(オーシャン・ディスクロージャー・プロジェクト)を通じて公表することを約束しました。
2025年までに、当社が使用するすべての魚粉と魚油が、FAOの「責任ある漁業のための行動規範」に従って管理されている漁場で漁獲されたものにすることを目指しています。つまり、当社のサプライヤーは、魚粉と魚油がMarinTrust(マリントラスト)の基準に従って認証されている(海洋管理協議会の認証を含む)ことを証明できるか、MarinTrustの認証取得を目指して漁業改善プロジェクト(FIP)に参加していることが必要です。
サステナビリティリポートに明記されている進捗に加え、より透明性を高めるという当社のコミットメントを支持し、当社のグローバル事業で調達した天然および養殖水産物の産地と環境のサステナビリティを、Ocean Disclosure Project(オーシャン・ディスクロージャー・プロジェクト)を通じて公表することを約束しました。
2022年にスクレッティングが購入した全魚(ホール)由来の魚粉と魚油の84%は、MarinTrustまたはMSCプログラムに従って認証された漁場、またはMarinTrustのFIPの一部である漁場からのものでした。これは、2021年(82%)と比べて若干の増加です。この増加は、漁業改善プロジェクトに参加する漁場が増えたことに起因しています。
スクレッティングのサーモン生産国(ノルウェー、カナダ、チリ、オーストラリア)は、認証を受けた海産原料の使用比率が最も高くなっています。アジアとアフリカは、認証海産原料の使用比率が著しく低くなっています。アジアとアフリカでは、認証された漁場が少なく、海産原料の認証状況に関する市場圧力が低くなっています。ラテンアメリカとアジアでは、漁業改善プロジェクトによる海産原料のシェアが、スクレッティングの他の地域よりも高くなっています。.
2022年、ニュートレコとスクレッティングは、海産原料に関する責任ある調達方針を発表しました。これは、海洋を保護し、人間が直接または間接的に消費するための魚類資源の漁獲が、明確に定義された持続可能な範囲内で行われるようにするというコミットメントを強固にするために行ったものです。
魚を食用に加工すると、最終的な水産品には使用されない副産物が発生します。加工後に発生する端材は、魚粉や魚油の原料として重宝されています。生産される魚粉のおよそ3分の1は、食用魚の水産副産物を原料としていると言われています。副産物つまりトリミングの利用は、全ホールが直接食用に使われるようになるにつれて増加し、社会はその物質を回収してバイオエコノミーの燃料としてますます効率的に転用できるようになっています。
スクレッティングで使用されるホールと副産物由来の海産原料をマッピングしました。過去5年間で、副産物の平均使用率は35%でした。2022年には、原料の39%が食用魚の副産物からもたらされています。
2022年の当社のホール由来の海産原料の95%は、29種の魚が占めています。最も重要な種は、太平洋南東部、大西洋北東部、大西洋東部中央にある漁場の小型浮魚類です。小型浮魚類は、魚粉と魚油の両方にとって最も重要な供給源です。
残りの5%はその他46種に由来します。登録された魚種が比較的多いのには、いくつかの理由があります。すべての漁場では一定量の混獲があります。混獲率が低く抑えられていれば、合法な漁業に含まれます。
天然魚由来魚粉と魚油はいずれも有限の資源であり、食用としての直接消費から養殖、養豚、養鶏まで、需要が増大するさまざまな利用者間で共有されています。当社は、これらの資源の効率的な利用を促進し、限られた分量の魚粉と魚油から、より多くの養殖魚とエビを生産しています。
養殖における天然魚の利用は、一般にFFDR(Forage Fish Dependication Ratio: 飼料魚依存率)として表されます。これは、天然魚由来の魚粉と魚油の使用に基づいて計算されます。トリミングに由来する海産原料は考慮されていません。FFDRは、養殖魚1kgに必要な魚粉と魚油の量を生産するために使用される天然魚の量のことです。
正確なFFDRは、飼料に含まれる海産原料の量、トリミングに由来する海産原料の量、経済的飼料換算係数(FCRe)によって変わります。
魚粉と魚油を中心とする海産原料は、数十年前から動物用飼料の主要な原料となっていますが、1980年代には養豚と養鶏に主に使用されていたのが、現在では水産養殖での使用が70%以上を占めるまでに変化しています。 これは、ここ数十年で養殖業が大きく発展し、養殖業が他の農業分野よりも海産原料の栄養特性を活用できるようになったためです。また、医薬品やペットフード製造分野での海産原料(特に魚油)の消費量も伸びてきています。これらの分野で海産原料が使用されているのは、海産原料が栄養価に優れ、大規模に利用可能であるためです。毎年500万トンの魚粉と110万トンの魚油が生産されているため、海産原料は量的にも予測可能であり、栄養面でも基準となる地位を確立しています。
海産原料の分野には、いくつかのビジネスチャンスがあります。そのひとつが循環型社会です。漁獲される天然魚や養殖魚のほとんどは食用ですが、一般的に消費されるのはそのバイオマスの50%以下です。
そのため、再利用可能なバイオマスはかなりの量にのぼります。 すでに魚粉や魚油の3分の1は魚の副産物を原料としています。水産養殖業が成長すると予想される中、海産原料の原料ベースが将来的に成長する可能性があることは明らかです。今後進むべき道は漁業全体に目を向けて考えることであり、海産原料はこの野望を実現するのに役立つ分野のひとつです。
もう一つのビジネスチャンスは、海産原料業界が世界の食料安全保障にプラスの影響と貢献を示すことです。これは、IFFOが取り組んでいる刺激的な挑戦であり、公に利用可能な第三者による比較可能な評価システムであるGFLI(Global Feed Lifecycle Assessment Institute: グローバル飼料ライフサイクルアセスメント協会)のデータベースに基づくライフサイクルアセスメントプロジェクトを開始しました。
カーボンフットプリントのような単一の指標に焦点を当てるのではなく、19の異なる影響カテゴリーを考慮します。地域の課題への対応も優先事項のひとつです。これは単独で行うことはできず、漁場管理と競争前段階の原則に基づく集団的アプローチが必要です。
主にイワシ、アジ、マサバなどを対象としたモーリタニアの小型浮魚漁業改善プロジェクト(FIP)は、同国の漁業当局、モーリタニア海洋水産研究所(IMROP)、地元企業、海外の魚粉・魚油生産者が協力して2017年から開始されました。
モーリタニア海域で前述の種を対象とする伝統的な沿岸巻き網漁船と遠洋トロール漁船からなるこの漁場におけるFIPの主な目的は、同国政府による資源の強固な管理と長期的なサステナビリティに向けた取り組みを支援することです。FIPは科学者と協力し、漁場、水揚げ、資源に関するデータ収集を改善することで、資源の状態をより細かく把握し、経営者が情報とサステナビリティに基づいて意思決定を行えるようにすることを目指しています。
利用できる情報を増やすために、FIPは主に次の2つの作業分野を支援しています。
2022年のサンプリング率の初期分析によると、モーリタニアは3年連続でCECAF(FAO)が定める最低サンプリング率を満たすか、上回ることになりそうです。さらに、2022年11月には、小型浮魚類管理計画(PAP-PP、Plan d'Aménagement de Pêcherie-Petits Pélagiques)と漁業省によるその検証を支援し、事実上これがこの漁場の計画と方針を定める正式な文書となっています。
PAP-PPは、漁場管理に関する幅広いトピックを網羅しています。これには、資源の評価と管理、生態系と混獲、モニタリングと調査、水揚げと漁獲・加工能力の管理、監視と執行システム、さまざまな船団とサプライチェーン、社会経済問題と雇用、食料安全保障、貿易とGDPへの貢献、地域調整と共同管理などのほか、実施に必要な手段、資金、能力、時間枠がありますが、これらに限定されません。
今後のこの漁場における主な目標は以下の通りです。
同FIPは、12月にMarinTrust(マリントラスト)による外部ピアレビューを受けました。その結果、Improver Programme(インプルバープログラム)でのFIPの継続が提案され、作業計画について助言がもらえました。
また、プロジェクトの改善速度を把握するためにその進捗状況を評価・測定するFisheryProgressからも、引き続きグレードA(高度な進歩)を獲得しています。
北東大西洋沿岸諸国は、共有浮魚類資源の長期的かつサステナブルな管理を実現する合意された解決策を見つけることができず、海産物のサプライチェーンに対する懸念が高まっています。
2020年、サバの漁獲割当をめぐる紛争が続く中で創設された北大西洋遠洋漁業擁護グループ(NAPA)は現在、スクレッティングを含む世界各地の60以上の大手小売業者やサプライチェーン企業が参加しており、いずれもサステナブルな海産物を責任を持って調達することを公約に掲げています。また、NAPAには多くの関連団体が加盟しており、北東大西洋の浮魚資源の長期的かつ科学に基づいた管理を提唱しています。
この漁獲枠争いの結果、商業的に重要なサバ、スカンジナビアニシン(ノルウェーの春産卵)、プタスダラの3種について、年間漁獲量が勧告レベルを大幅に上回る事態が長期にわたって発生しています。NAPAの目的は、科学的助言に沿った漁獲可能量(TAC)の合意、および科学に基づく長期的な漁場管理戦略を確保することによって、これらの漁場にサステナビリティを確立することです。
同グループは、沿岸諸国の意思決定者が支持する科学に基づく長期的な管理方法が実施されることを条件に、この地域から浮魚を調達できるようにしたいという点で一致しています。
サバとニシンの漁業改善プロジェクト(FIP)(2021年4月開始)と、プタスダラのMarinTrust(マリントラスト)のインプルバープログラム(IP)(2021年10月開始)を通じて、これらの目的の達成を支援する予定です。FIPとIPはともに3年間の期限付きで、主要な関係者や意思決定者に責任を持たせるとともに、政治的な意思を後押しする役割を果たします。
「私たちのFIPの目的は非常にシンプルで、それは必要に応じて漁場に海洋管理協議会(MSC)の認定を受けさせることです。そのためには、割当メカニズムに合意し、科学的な助言に従い、長期的な管理に取り組む必要があります」と、NAPAのプロジェクトリーダーTom Pickerell博士は述べています。
Pickerell博士によると、FIPが設立された当初から、営利企業やより幅広い業界が密接に関わることが、その実現に不可欠な要素であると認識されており、市場の引き合いがより良い方針を決定する外的な刺激となるということです。
北東大西洋で見られたように、沿岸諸国の合意を形成することはしばしば非常に困難であるため、これは極めて重要なことでした。サステナブルな漁獲割当に関する合意がないまま、各国は総推奨漁獲量のうち独自の割合を割り当ててきました。残念ながら、これらの割当の総和は科学的助言に沿った漁獲可能量をはるかに上回っており、漁船団は持続不可能なレベルで漁獲していることになります。
北東大西洋のサバとニシンのFIPは、主に次の3つのアクションプランから構成されています。
FIPは、その活動の完全な透明性を確保するために、独立した監査を受け、サステナブルな実践のための指標としてMSC認証基準に従っています。しかし、Pickerell博士は、このFIPの背後にある鍵(「強制力」)は、NAPA会員が発表した調達声明であると強調しており、その中にはこれらの漁場からの購入を停止するという警告も含まれています。
「このような調達に関する声明は非常に斬新です。というのも、このような決定は関係する企業にとってプライベートなものであることが多いためです。しかし、各企業に立場を公表させることで、重要性を明確にしているのです」と、Pickerell博士は述べています。
実際、仮にFIPがこの点で失敗するとしたら、NAPAはこれらの企業がそれぞれの調達声明を守ることを期待します。さらに、これらの資源が実際に乱獲されるリスクが劇的に高まり、再建が必要になることを何よりも懸念しています。
2022年は停滞の年でしたが、このプロジェクトに対するコミットメントと注目度の高さにより、2024年までに総漁獲努力量を科学的助言に沿って設定することが可能であるということを改めて確信できています。サステナブルな漁業のための科学的助言に基づく決定を後押しするために、当社が市場圧力を加え続けることが重要です。
FIPが実施されている限りにおいて、当社はプタスダラの購入を継続します。なぜなら、当社が関与し続けることで、変化を促すことができるからです。しかし、進捗に遅れが出たり、FIPが機能しなくなったりした場合には、そのプタスダラ漁場が当社の海産原料調達方針に沿わなくなるリスクがあります。
特に激動の時代において、調達チームが優先すべきことは入手可能性です。つまり、適切な栄養素を適切な場所で入手し、お客様に途切れることなく供給できるようにすることです。