Skretting sustainability report 2020

Our migration towards a more sustainable future

私たちのアンビション

スクレッティングでは、ジレンマについてオープンにすることが重要だと考えており、解決策を見つけるためにどのように努力するかを説明しようとしています。つまり、サステナビリティにかかわる様々な問題のバランスをとる必要があります。

1981 年のスクレッティング入社から水産養殖の仕事に従事してきましたが、2021 年は私がこのグループで働く最後の年になります。年次発行のサステナビリティリポートの発行に携わるのも今回が最後ですが、多くの仲間たちがこの仕事を引き継いでくれるはずです。
スクレッティングサステナビリティマネジャー Trygve Berg Lea

スクレッティングはこの 40 年、取引先が小規模な家族経営の養殖場だけであった時代から、国際的サプライチェーンに不可欠なハイテク産業にまで成長するという素晴らしい旅をしてきました。私たちの比類ないこの役割については、多国籍企業群の主要な一部であるとも認識されています。


世界人口が 2050 年までに 100 億人に達すると予測される今、世界の人々に食糧を供給するという課題は、私たちのパーパス「Feeding the Future」の基盤になっています。世界人口の急増によって魚やエビなどの水産物の需要が増大するにつれ、サステナブルな方法による水産養殖の生産を増やすことが課題になります。このパーパスは、バリューチェーン全体が同じ方向を目指すことで達成できるという私の確信は変わりません。

スクレッティングが掲げるサステナビリティの大きな目標は以下のとおりです。

• スクレッティングは、飼料の製造を通じてクライメイトニュートラル(気候中立)の促進に貢献します
• スクレッティングは、資源増加と養分効率によりサステナブルな水産養殖の成長を促進します
• スクレッティングは、責任ある原料調達を促進します
• スクレッティングは、養殖魚と養殖エビの健康の向上に貢献します
• 従来の飼料原料に比べ環境的・社会的負荷の低い飼料原料のイノベーションと開発を支援します
• オープンな精神を持ってサステナビリティのジレンマのソリューションを見出します

スクレッティングは、飼料製造を通じてクライメイト ニュートラル(気候中立)の促進に貢献します

スクレッティングは 2009 年以降、私たちのオペレーションによる温室効果ガス(GHG)の環境負荷を報告しています。2025 年を見据え、私たちの原料購入による GHG および炭素の排出量を減らし、オペレーションによるエネルギー使用量を大幅に削減するためのコミットメントを先導していきます。また、飼料製造による環境負荷を最小限に抑えられるよう飼料配合にLCA(ライフサイクル アセスメント)方法論を採用する予定です。

スクレッティングは、原料の多様化と栄養の効率化によりサステナブルな水産養殖の成長を促進します

製造する飼料を与えられる魚とエビに必要な栄養素の知識は、スクレッティングが誇る高い能力の中でも特に重要なものです。その知識をもとに貴重な栄養素を損なうことなく、飼料効率の良い飼料製造を行うことができます。また、食用と直接競合しない原料を活用することで、循環型経済の発展にも寄与します。

従来の飼料原料に比べ環境的・社会的負荷の低い 飼料原料のイノベーションと開発を支援します

従来とは異なる植物性あるいは動物性原料の飼料として広く知られる新規原料技術に関しては、現在、微生物と昆虫由来のタンパク質や脂質を含む飼料が評価されつつあります。実際、スクレッティングが昨年顧客の協力を得て開発した、昆虫由来の EPA およびDHA と高品質なタンパク質を含む藻類油を使った飼料は、今後も他の市場で販売される予定です。

スクレッティングは、養殖魚と養殖エビの健康の向上に貢献します

スクレッティングは顧客に寄り添い、抗生物質削減に向けた彼らの取り組みを支援するために取り組んでいます。優良事例に基づいたやり方をご提案し、不要な抗生物質への依存を減らすために飼料添加物というソリューションを提供することで達成すると考えています。また、抗生物質の使用に関する優良事例を確立するため、その他のステークホルダーや非顧客との協働も視野に入れています。これらの措置を合わせて行うことで、総合的に薬剤耐性(AMR)が人体に及ぼしうるリスクを低減できます。AMR のリスク低減のため、スクレッティングは 2025 年までに、世界保健機関(WHO)が人体の健康に対する有害リストに挙げた抗生物質の販売を停止します。

スクレッティングは、責任ある原料調達を促進します

世界には、大豆やパームなどの作物の生産拡大によって生物多様性が損なわれ、気候変動が加速している地域があります。地域によっては、魚粉や魚油などの海産由来原料の使用が魚の乱獲を引き起こしています。スクレッティングは昨年、大豆とパーム原料の調達方針を打ち出しました。2025 年までに、森林破壊の危険性の高い地域から購入しているすべての大豆とパーム原料を、森林破壊ゼロ由来にすることを宣誓しました。そして現在、海産由来原料の 2/3 以上は責任ある方法で調達されたもので、国連食糧農業機関(FAO)の責任ある漁業のための行動規範の原則に沿って行われている漁業によってまかなわれています。さらに、責任ある漁業方法の改善を目指すプロジェクトや漁業認証の獲得の支援活動も、私たちは積極的に行っています。

オープンマインドでサステナビリティのジレンマに取り組みます


温室効果ガスの算出は、いまや多くの企業が取り組んでいますが、私たちは「温室効果ガス=負荷」だけを考える傾向があります。はたしてそうでしょうか。温室効果ガスに焦点を当てるだけではいくつかのジレンマが生じてしまいます。水産飼料に関して私たちが目指してきたのは、天然魚由来の魚粉の含有量を抑えた飼料の配合です。さらには天然魚をホールで使うのではなく、副産物や加工残渣から作られる魚粉の使用量を増やすよう取り組んでいます。温室効果ガス全体の削減のみを目標にすると天然魚をそのまま使った魚粉の使用量は増加しかねず、正しい方向性を伴った開発にはなりません。

私がこの業界で過ごした過去 40 年間を振り返ると、スクレッティングをはじめとする養殖業界全体が、サステナビリティ実現のための取り組みに一貫性と積極性をもって打ち込んできたことは、明白です。サステナビリティを目指す私たちの旅と、積み重ねてきた一連の努力が、飼料産業の他の分野の手本になり私たちの後に続くことを願うばかりです。
スクレッティング サステナビリティリマネジャー Trygve Berg Lea

現在、私たちは歴史的に森林破壊が慣行し温室効果ガスの排出が高いブラジルから、森林破壊ゼロの大豆を購入していきます。しかしその温室効果ガスの排出は、森林破壊が起きた地域からの大豆のそれと変わらないため、森林破壊ゼロの大豆購入によって私たちが得られるインセンティブはありません。

責任ある大豆調達に対する私たちの基準は高く、バリューチェーンに与える私たちの影響も大きなものです。よって重要なのは、私たちがバリューチェーン内の環境状況をみながら、いつまでそこから購入するのか、私たちの影響力を使って望ましい開発を促すのか、またはその影響力の行使をやめるのかという点です。

スクレッティングはこのジレンマに対してオープンに話し合い、サステナビリティ面におけるバランス調整の必要性を踏まえたソリューションを見出すべく奮闘しなければなりません。私たちが目指しているものの多くは、畜産飼料においても一致することでしょう。

私がこの業界で過ごした過去 40 年間を振り返ると、スクレッティングをはじめとする養殖業界全体が、サステナビリティ実現のための取り組みに一貫性と積極性をもって打ち込んできたことは、明白です。サステナビリティを目指す私たちの旅と、積み重ねてきた一連の努力が、飼料産業の他の分野の手本になり私たちの後に続くことを願うばかりです。

CEOからのご挨拶
私たちのアンビション
背景
スクレッティングと国連持続可能な開発目標(SDGs)
透明性と信頼
主要なパートナー
ロードマップ2025
動物の健康と福祉
気候と循環
良き市民
養魚とエビの生産に用いられる飼料原料
スクレッティングについて