スクレッティングの伊万里工場は、2025年2月21日付で日本初のASC飼料基準の認証を取得しました。これは東アジアにおいて初の快挙となります。
スクレッティング、日本初のASC飼料基準認証を取得

サステナブルな養殖産業の実現へ
ASC飼料基準の認証を受けた飼料は、労働環境の整備や児童労働や強制労働の排除など社会的責任を果たすサプライヤーおよび生産者から供給され、絶滅危惧種の利用や森林破壊を伴わない、環境・社会的に適切な方法で製造された原料であることが証明されます。サステナブルな水産物を提供するお客様は、ASC飼料基準のような厳格な国際基準を満たすことで、さらに持続可能な水産業界の実現をリードしていくことができます。
なぜASC認証が必要なのかー地球が直面する課題
国連の予測によると、2050年までに世界の人口は100億人に達するとされています。この膨大な人口に対し栄養価の高い食糧を持続可能な形で提供することは、私たち人類が直面する大きな課題の一つです。
水産養殖は畜産に比べて環境負荷が低いとされており、魚の持つ高い栄養価と併せて、世界的に注目され急成長している産業です。しかし、養殖で使用される飼料原料は天然資源由来の魚粉・魚油、および農業資源である大豆やパームオイルなどが含まれており、その調達方法によっては深刻な環境・社会問題を引きおこす可能性があります。
例えば、IUU漁業(違法・無報告・無規制漁業)による資源乱獲や絶滅危惧種の混獲、大豆・パームおいる生産による森林破壊と生態系への影響、また、これら原料の製造・調達過程における人権問題(現代の奴隷労働・児童労働など)があります。
これらの問題に対処するため、世界各国で環境・社会的責任を問う規制が強化されています。日本においてもIUU漁業由来の水産物の流入が市場に流通しているとされています。WWFによる日本の主要輸入先9カ国の調査によると、輸入水産物数量の24-36%がIUUと推定されるとされています(*)。このため、日本においてもサステナブルな水産業への取り組みは喫緊の課題です。
ASC認証は、こうした環境・社会問題に対応し、持続可能な水産養殖の実現を支える重要な基準です。水産業界全体が責任ある調達を推進し、環境・社会的なリスクを低減することで、将来の食糧供給を守ることが求められています。
*WWF2015年輸入水産物上位9か国調査 https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/282.html
最も厳格な認証基準を満たした飼料をお客様に お届けできることを誇りに思います。
サステナビリティへの取り組みと私たちの想い
当社の飼料工場は、長年にわたり厳格な環境および社会的責任基準を順守してきました。
この認証の取得は、当社の継続的な改善への取り組みを強化するだけでなく、日本の水産養殖業界にとっても重要なマイルストーンとなります。ASCは継続的なプロセスであり、私たちはこの認証を最終目標ではなく、より持続可能な未来への第一歩と捉えています。この偉業を達成したチームを誇りに思うとともに、このマイルストーンが日本の水産業の発展を促し、日本の水産物が世界標準にさらに近づくことを期待しています。
スクレッティングにとって、ASC認証は、サステナビリティと社会的責任に対する取り組みの証です。ASC飼料基準の取得は、徹底した管理体制のもと、記録の文書化や監査が求められました。
私たちは、原料を提供していただいているサプライヤーの皆様と緊密に連携し、全ての原料が基準の要件を満たすよう全社一丸となって取り組んできました。
「当社の工場がASC飼料認証を取得し、最も厳格な認証基準を満たした飼料をお客様にお届けできることを誇りに思います。世界基準を満たすことで、日本の養殖業界のさらなる発展に貢献できるよう、引き続き尽力して参ります。」と品質担当責任者の笠原は述べています。
今後もより持続可能な水産業の発展に向け、環境・社会的責任を果たしながら取り組みを進めてまいります。
ASC飼料基準について
ASC飼料基準は、養殖業における飼料製造の環境・社会への影響を低減するために策定された、国際的に求められた認証制度です。
この基準により、飼料原料の責任ある調達が保証され、全ての主要原料の追跡が可能となります。
また、原料の製造者が厳格な環境および社会ガイドラインを遵守する必要があり、飼料製造業者も合法的かつ社会的・環境的責任をもって事業を行うことが求められています。

品質管理システムについて
ニュートレースNutrace®は、スクレッティング独自の飼料から食品までの品質・安全システムです。原料から最終的な飼料ソリューションに至るまで、生産プロセス全体の一貫性を保証します。